よく詐欺被害のニュースを見て、「なぜこんな馬鹿なような話で大金を払ってしまったのだろう?」と思う時があるだろう。
例えば300万円だまし取られたとか。
しかし詐欺師というのは人間心理を攻めてくるものらしい。
たとえば詐欺師が、いきなり300万円出資してくれれば1000万儲かるというという話を持って行っても払う馬鹿はそうそういないだろう。
しかしこれが、5回に分けて、まず3万→10万→30万→90万→160万と攻められたらどうだろうか?
人間心理として、一回目は3万ぐらいなら試してみよう、と思ってしまう。むろん儲かる額は最初は控えめにしてある。
それで次は詐欺師に10万を要求される。人は既に3万払ってしまっているので、ここで止めてはもったいないという心理が働き、10万払ってしまう。
で、その繰り返しというわけだ。そして途中でおかしいと認識するのだが、自分が騙されていることを認めたくないばかりに、違和感を覚えながらも詐欺師の被害にあいつづけてしまうわけだ。もし途中で他人に勧めてしまったりしていたら尚更この心理状況から抜け出せない状況に陥ってしまうのだろう。
この手法は実は詐欺扱いされない分野でも使われているのをご存じだろうか?
まず年金。明らかに破綻することが確定しており、既に将来の負担を増えることは確定済みになっているにもかかわらず、現在支給を受けている者たちを守るために、全ての負担を将来に押しつけているのだ。(結局未来の受給者の支給年齢を引き上げたり、額を減らそうということは考えても、現在支給額を減らすことはないことが如実に物語っている。年齢層が▽となっている国家では民主主義はまともに機能しえないのだ)
若年世代が年金を払い続ける理由は、既に少なからぬ額を支払ってしまった以上は、受給できる最低年をクリアするまでは払わないといけないという詐欺的なマジックを強いられている点が大きい。これはまさに詐欺師の手法である。実際は払えば払うほど損をする割合が高まる一方にもかかわらず、止められない状況に陥らされているのである。
後期高齢者医療制度に徹底的な反対をするなど、よくエゴイストと化す老齢世代(高齢民主主義における大衆迎合をしたマスコミも同様だが)が、養ってくれる労働世代が減っていることから、年金や保険制度を守るために、移民を受け入れようとか馬鹿なことを言っていることがあるが、移民が、払えば払うほど損をするだけの年金や国民健康保険を黙って支払うと思っているのだろうか? 当然移民も馬鹿ではないから、馬車馬のように老齢化した日本国民を養ってはくれるわけはない。払うとすれば、受給世代の親族を大量に連れてきた時であり、それでは老齢世代が願うような年金や保険制度は守られることはないのは言うまでもない。(ついでに言えばTPPによって、年金制度も保険制度も崩壊する可能性も高い。こうなってしまうと例え消費税20%ですら制度を防衛すことはできないだろうが、果たしてTPP受け入れ賛成派はこのことを意識していて賛成しているのか?)
詐欺の手法から多少脱線気味だが、続けて別の例を挙げよう。
それはモバゲーやグリーなどで知られる課金型ゲームである。(私はやりたくもないので、想像を交えて書いているが、大きくは間違っていないはずだ。)
課金型ゲームの恐ろしいところは、金を払い続けないと楽しめない構成になっているところだ。そして詐欺の手法と同根の手法といえる点が、3000円払っても、追加で5000円払っても、更に追加で10000円払ってもエンドレスに金を払わずにいられない心理状況にしてしまうところだろう。ついには小学生が100万円分の仮想のアイテムを買ってしまうなどという問題なども既に社会問題になっているのは有名な話だ。
これはまさに詐欺の手法と同じで、折角5000円払ったんだから、もうちょっとだけ、もうちょっとだけ、という延々と終わることのない心理的罠にはめてしまい、実際には何の価値もないものを売りつけて大金を巻き上げようとする悪徳商法としか思えない。
確かに小学生など未成年はともかく、大人ならば自分の判断で、という話になるのかも知れないが、詐欺師と同じ手法を使っている時点で胡散臭いというしかないだろう。
プロ野球の横浜ベイスターズを買うというモバゲーは、マスコミの圧倒的なヨイショによって、優良企業然とした地位を得るのだろうか? これでは日本も不幸な国へ真っ逆さまというのも頷くしかない。
ちなみにこういう詐欺の手法は戦前からもあったようで、先日大日本雄弁会講談社発行の「キング」で読んだ甲賀三郎「南洋蘭とラヂオ」という作品では、南洋蘭詐欺というものが紹介されていた。(昔は新聞はもちろん大衆紙が詐欺に騙されないように啓蒙していた点もあったのだろう。詐欺に荷担しているとしか思えない現在とは大きな違いだ。)
業者は苗を農民に安値で売る。農民は苗を南洋蘭に育てる。業者はその南洋蘭を農民から高値で買うというシステムになっているのだが、
業者は詐欺師であり、最初だけ農民を儲けさせて、その後一定のタイミングで、大量の苗を農民に売りつけるだけ売りつけて、その後農民が南洋蘭に育て上げても、業者は失踪済で農民は借金地獄という詐欺だった。
ともかく詐欺師の手法は許せないというのは昔も今も同じである。騙した者勝ちという手法は絶対におかしいのだ。
絶対に法規制すべきだが、現在の消費者担当大臣は、マルチ商法を推進したり献金をもらっていたりする山岡賢次ということもあるので、年金問題放置や移民推進問題も含めて、残念ながら、現状は国家ぐるみで詐欺的手法を推進している状況というしかないのは極めて遺憾なことだ。
posted by アイナット at 23:59|
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