むろん五輪に出れるに超したことはないが、しかしあらゆる犠牲を払ってでも出るべきというほどではないのが実情だろう。そのあたりがW杯とは全く異なる。
欧州では五輪は全く重要度が低い大会に過ぎない。南米は国内組を中心にそれなりに力を入れてくるが、基本的に23歳以下しか出場資格が無い五輪について言えば、欧州サッカー界への売り込みばかりが注目される大会に過ぎないのも事実だろう。つまりはサッカー中堅国にとってのチャンスというわけだ。
では日本はどうか? もはやインテルミラノ長友、ボルシアドルトムント香川、CSKAモスクワ本田など世界中で有名な選手が多数揃っており、もはやそこには4年前の姿は全く見いだせない。この状態がいつまでも続くかは誰にもわからないことだが、少なくとも今この瞬間の日本のサッカーにおける地位はもはや世界でも上位である。世界中の人にサッカー強国ベスト16を挙げよと言えば、半分くらいの人がいれてもおかしくないぐらいだ。
その日本が果たして五輪に無理して参加すべきなのか? 日本サッカー界として本気を出して五輪参加に取り組むべきか。例えばクラブでの立場を危うくしてまで海外組の招集に力を入れるべきか、また呼ばれれば承諾すべきなのか? このあたりの判断はどうなのだろうか?、
五輪に参加できれば、もちろん非常に嬉しいし、予選敗退の憂き目にあえば当然非常に悔しいのは間違いないのだが、果たしていつまで五輪サッカーに熱を入れる日本男子サッカー界でいるのか、ついに贅沢な悩みに悩む状況になったということだろう。
ちなみに女子サッカーについては五輪が世界最高峰の権威を誇る大会のため、上記は全く当てはまらないので注意願いたい。
その男子五輪代表、シリア戦内容も含めると惨敗だが、大学でも最強とはほど遠いチーム(流通経済大学)から山村と比嘉というシリア戦でも失態が目立った選手を選び出したり不思議な力を感じさせる五輪代表ではある。特に山村についてはいわゆるスポンサー枠という噂もあるようだが、その噂の真偽はともかくとして、なぜJリーグでレギュラークラスの選手を無視するような選考をするのか理解に苦しむのだ。
果たして残りの試合で、その疑問を払拭するようなパフォーマンスを発揮してくれるのか、もしくは選手選考をしてくれるのか、勝負以前にそのあたりも注目したい。