9歳の蓮(れん)は渋谷の町を彷徨っていた。父親は強制的な離婚で去り、母親は交通事故で亡くなった。母の親族は大嫌いな人達ばかり。それが一人彷徨っていた理由。そこでまずチコという鼠のような不思議な生き物に出会い、更にはクマのバケモノ熊徹とも出会うことになるのだ。
バケモノたちの国は渋谷の裏にあった。バケモノは神になれる獣人。闇を抱える人間を拒絶していた世界だったが、粗暴で唯我独尊的な熊徹の弟子として蓮は受け入れられる。蓮と熊徹は最初はソリが全く合わなかったが、徐々に親子のような信頼関係へのなっていき。という展開。
連はバケモノの国から渋谷に戻ったりして人間界にも女の子の師匠を得る。このように人間界とバケモノ界を行き来しつつ、ついには飲まれるような闇との壮絶な戦いへとつながっていくのだ。
ファンタジーに慣れていないと理解不可能な変な話かもしれないが、はちゃめちゃな、成長と冒険活劇ファンタジーで、複雑さも無く単純で面白い。人外のバケモノを通じて人間の愛、人間の闇をクローズアップする作品。
人間界の師匠の女の子を出す必然性はいまいち薄いが、熊徹、多々良、百秋坊といった独身仲間も少ないおっさん勢、そして離婚して淋しいお父さん、といった孤独なおっさん勢が、素晴らしく良い味を出している。
バケモノの子という力強さや疎外感はほとんど感じさせず、本当に暗さを感じさせる展開も序盤だけと、観ていて爽快感も強いところもいいところだろう。