2010年の「モールス」というホラー映画を見てみたが、これが恐ろしく陰湿かつ奇妙なリアリティがあって大当たりだった。
ネタバレになるので要注意だが、
いじめられっ子の12歳の少年と団地の隣部屋に引っ越してきた孤独を感じる少女との友情と初恋を描く、一見ハートフルな内容なのだが、その実、町には猟奇殺人事件が蔓延り、その渦中の主人公となるのだ。
CGや金をかけただけの演出やパニックで大騒ぎするだけの下らないヴァンパイア映画が大量生産されている中では、不気味なほど静かに心の交流を描くことに力を入れている本作は一級品といっていい。
ヴァンパイアと人間という本来相容れるわけのない孤独な二人がモールス信号を通じて交流を行う本作は、猟奇殺人、ヴァンパイアらしい殺人、人類としては共感しかねるが主人公の立場に立てばどうなのかをよく考えさせる作品だ。主人公がいじめられっ子に虐められる様子もリアリティのある陰湿さを醸し出す。そして人間に対して不信感を抱き、人類として間違った選択をしていることを自覚しつつも、好きな人を守ろうとする恋する少年にもリアリティを感じる。
とにかく内なる怖さを感じさせるのが本作だ。オリジナルのスウェーデン映画も見たかったが、それはまた今度ということで。(ユーロ2012 スペインVSイタリアの時間とかぶっているため)
ちなみに2011年の「もしドラ」も見てみたが、あまりの低レベルさにウンザリする内容だった。特に後半部には何一つ価値が見いだせない。これは完全に時間の無駄だった。